体重計を持っている女性

肥満はさまざまな病気を引き起こすリスクが高まると言われています。ヒトは生命を維持するために食べ物を摂取し体内でエネルギーに変えて外に放出します。エネルギーとして使う分だけ食べていれば蓄積されることなく適正体重を維持することができますが、過剰に食べてしまうと体内で脂肪となって蓄積されていきます。運動不足や筋肉が衰えるなどの原因でエネルギーを発する力が弱くなる場合も、体内に脂肪がたまりやすくなります。溜まった脂肪が増えて体が大きくなった状態が肥満です。

肥満になると血糖を処理する能力が低下したり正常に機能しなくなる場合があります。血糖値が高い状態が続くと、糖尿病を発症するリスクが出てきます。糖尿病の初期に体重を落とせば、血糖値の処理も正常に行われるようになり、もとの健康体に戻る可能性もありますが、そのまま放っておくと徐々に症状が悪化して糖尿病に発展することもあります。

蓄積された脂肪が増加することで体重も増えますが、増えた脂肪に血液を送るため毛細血管が伸びます。心臓は増加した部分にも血液を送り込もうと、以前にも増して強い圧力で血液を送るようになります。この状態が続くと高血圧が慢性化します。

高血圧はさまざまな病気を引き起こす要因として知られていますが、高血圧の状態が長く続くと、血管が傷つきそこに悪玉コレステロールが入り込むようになります。悪玉コレステロールが増えると、コブのように膨れて血流の流れを阻んだり、血管が詰まりやすい状態をつくります。動脈硬化はこうして進行していきますが、動脈硬化になると心筋梗塞や脳出血など命に関わる病気を引き起こすリスクが出てきます。日本人の4人に1人は高血圧と言われていますが、肥満の人の場合は2人に1人と、高血圧を発症する可能性が高くなります。肥満の人が高血圧になりやすいのは、内臓脂肪などが増えることで血圧が高くなる傾向があると考えられています。

心筋梗塞や狭心症など心臓病はいくつか種類がありますが、肥満の人はこうした病気にも気を付ける必要があります。体重が増えれば増えるほど心臓に負担がかかり、それが心臓病発症につながると言われています。

ある研究は脂肪の働きに着目して、脂肪組織は脂肪を蓄積するだけでなくホルモンを分泌する働きも担っていることを発見しました。肥満によって脂肪が蓄積しすぎると、ホルモンの分泌や調節をする機能が正常に働かず、大量にホルモンや伝達物質を分泌することがあります。大量に放出された分泌物は、体内の臓器などにダメージを与え、心臓病など深刻な病気を引き起こすリスクにつながります。
脂肪組織と病気のリスクの関係性については、さらなる研究が必要ですが、肥満が病気による死亡率を高めている可能性は強まっています。